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貴州出張記1/中国農村部のバイオマス政策 

先週、出張で貴州省の北部にある道真県(乞佬族【ge lao】コーラオ族】・苗族自治県)という農村へ行ってきました。 農村に入って見た中で、バイオマス政策のことと教育のことが非常に心に残ったので、書いておこうと思います。

20071209193344.gif
貴州省はココだよ。
北京から飛行機で2時間半弱。



20071209193354.jpg
貴州省地図
赤でマークしたのが道真県。重慶に近いので重慶空港から入りました。
最終日に移動したのが遵義市(青いマーク)。


【中国農村部のバイオマス政策】



 中国本土政府・農業部は「全国農村のメタンガスプロジェクト建設計画(2006~2010年)」を発表、2010年までに全国の農家4,000万戸でメタンガスが利用されるようになるであろうとの予測を示している。  全国で一定規模以上の家畜飼育場で行われた大・中型メタンガスプロジェクトは合計約4,700カ所に達しており、  「農家のメタンガス利用、家畜飼育場での大・中型メタンガスプロジェクトと農村のメタンガスサービスシステムの建設を迅速化させる。」 ことにより、環境リサイクルと農村開発を合併させたプロジェクトを全国展開していきたいとしている。  
 尚、中国本土の推計によると、農家4,000万戸がメタン発酵設備を利用することで、毎年メタンガス約154億立方メートルを生産でき、この量は標準石炭換算で2,420万トンに相当、また、利用者はメタン発酵の過程でできる余剰物も使用するので、農薬と化学肥料を20%以上削減できるとの予測が示されている。  
 また、中国本土政府は既に2003~2006年に、国債55億人民元を発行、48,000の農村にメタン発酵設備573万カ所を建設しており、全国のメタンガス利用農家は2006年末までに、約2,260万戸に達しているとのことである。
 

太原:メタンガス池、1.3万個を建設   
2007年より、太原市は、メタンガス池の建設を農産建設の突破口として、新たなメタンガス池建設を推進ている。  
農村のメタンガス池建設を推進し、農村住民のメタンガス使用を保障するため、今年、市政府は40万元(日本円にして約602億3600万円)以上の資金を投入した模様。  
現時点までに、同市の農村における新設メタンガス池は1万2934個所にのぼり、前年の3.4倍以上になったという。  
また、新設されたメタンガス池は、市政府弁公庁監督・検査処、農業局、財政局、発展改革委員会の共同引取り検査に合格したとのこと。

 


山西省の各クラス政府は一定の資金を拠出し、農民のメタンガス施設の整備のための補助金とした。これまでに累計1.1億元を投下し、47の県、1048の村の15万戸の農民を支援した。完成した15万のメタンガス施設のおかげで農民たちは年間1.8億元の費用の節約が可能となった。   現在、メタンガス利用者数は1300万人以上に達する。2005年には、中国は10億元の資金を拠出して、メタンガスの普及に努めた。中国の農村では、メタンガス、作物の茎類を代表とするバイオマスエネルギーの利用量は2.5億㌧石炭原単位を上回り、農村住民の生活用燃料の約50%を占めるに至った。山西省の中部と南部の一部地域では、メタンガスは農民の冬季暖房施設の重要なエネルギー源となっている。

 +++
膨大な人口を抱える中国では、当然のことながらエネルギー対策が緊急に必要であり、家畜がいる農村部に対しメタンガスによるガス供給を行う政策を政府が実施、現在農家への設置が進められているそうです。
今回わたしが見せてもらった農家にもメタンガス池が作られ、農家の方はメタンガスを使う事により現金支出が減った、と喜んでおられました。
また、この地域の多くの農家ではまだカマドを使っていることから、薪を使わないことによる環境保護、練炭を使わないことによる大気汚染の防止など、一石何鳥にもなる素晴らしい政策・・・のように思えました。 しかし。そこは中国。現地ではまだ問題が山積みでした。(ちなみに「メタンガス」は中国語で「沼气 zhao3qi4」)


006_daozhen.jpg
今回訪問した農村 「郷」レベルです。

025.jpg
家庭内にあるメタンガスの装置

026.jpg
メタンガス池 ここの家庭のものは家屋から離れたところに設置され衛生的でした。



005_kamado.jpg
一般農家の台所 ほぼ外。カマドです。

027_kamado.jpg
屋内のカマド


1.メンテナンスの人材不足。
設置した当初は良いのですが、当然のことながらしばらくすると池から出ているガスのパイプが糞尿で詰まる等アクシデントが出てきますが、この装置のメンテナンスができる人材が農村部にはまだいません。で、装置の具合が悪くなるとそのまま放置・・・という農村が初期の段階で配布された地域に出始めています。
中国(いや、日本でもか)ではありがちですが、素晴らしい政策が決められ、下部組織に通達されると表面上のことは実施されますが、本来の核の部分は下部組織に落ちていくにつれ失われ、形だけが「実施」されます。

今回のケースでいうと、メタンガス池の設置及び器具の配布までは良かった、しかし当然その後生じるメンテの部分までフォローすることができていない。→下部組織の人間までこの政策の本当の意味を理解し、主体的に関わっていれば、メンテの問題は現場レベルでは当然生じる問題としてカバーされるはずですが、現実には現場レベルは上からの命令を実施するだけで何かを考えて行動するということはしないし、また下から上に現状の問題点を報告する、という習慣は中国には無いので、結局不具合が出た装置は放置されたまま、という意味の無い現状となっています。(この地域では日本のJICAがメタンガスについてフォローしていることもあってきちんと使われていました)

2.衛生面
メタンガス池は家畜の糞尿を溜めて発生させます。と書くだけで、かなりヤバい雰囲気なのですが、衛生面、とくにトイレ付近の衛生観念が全体的に低い中国において、メタンガス池の臭いはひどく、衛生状態もかなりなことになっていました。 ガスを作るのはいいけど、新たに感染症等の問題が発生しないのか心配です。 そして、メタンガス池の糞尿管理が原因で何か新しい(SARSや鳥インフルのような)病気が広まっても、メタンガス池の管理は農業部(農水省)、感染症対策は衛生部(厚労省)と管轄が違うことから対策が遅れそうな・・・。世界的な問題になるまで腰が上がらない、という事態が容易に想像できます。

3.安全面
ガス池を作るわけですから、安全を考慮して一般的には家屋から離れた場所にメタンガス池を作るものなんだそうですが、ここでは家のすぐ横に作られていました。爆発したら大変なことに・・・。 この政策のものではありませんが、実際にメタンガスの事故は中国でもよく起きています。

雲南:下水管がメタンガスで爆発、22人が負傷
    雲南省・玉渓市易門県柳楊街の農貿市場で、下水管に溜まっていたメタンガスが爆発、地上に噴出した炎で22人が火傷を負った。そのうち、6歳の少女一人は重体で、極めて危険な状態が続いている。

+++
同行していた日本人の方に、このメタンガス政策は中国農村部のエネルギー対策の最終的な着地点なのか、過渡的な政策なのか聞いてみたところ、恐らくは最終的な着地点なのではないか、ということでした。 本当に4千万戸の人々がバイオメタンガスを利用したら、もうそれは地球規模の環境保護政策と言えると思います。器具を配布したから終わり!ということにならないことを祈るばかりです。

というか、なりがちなので、日本政府からのフォローが入っているわけです。って書くと、対中ODA反対論者から意見が来そうなんですけど、要はこういうことは中国の問題であると同時に既に地球規模の問題になっているわけで、お前の国の問題だからお前がやれ的なスピードではもう追いつかなくなっている危機感があるわけです。(実際に中国で発生した大気汚染による被害が日本で増えています 
また、この問題の回答は《大地の咆哮》にも詳しく書かれていますので、興味のある方は是非ご一読を!
  









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