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《すべてがFになる》;森博嗣 

「思い出と記憶って、どこが違うか知っている?」犀川は煙草を消しながら言った。

「思い出は良いことばかり、記憶は嫌なことばかりだわ」

「そんなことはないよ。嫌な思い出も、楽しい記憶もある」

「じゃあ、何です?」

「思い出は全部記憶しているけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」

+++
「どうしてご自分で・・・、その・・・、自殺されないのですか?」

「たぶん、他の方に干渉されたいのね・・・」(略)

「自分の人生を他人に干渉してもらいたい、それが愛されたい、という言葉の意味ではありませんか?犀川先生・・・。自分の意志で生まれてくる生命はありません。他人の干渉によって死ぬというのは、自分の意志ではなく生まれたものの、本能的な欲求ではないでしょうか?」

+++
わたしには幾つか記憶の抜けた時期がある。

正確に言えば、ある“時代の記憶”が抜けている。記憶喪失、という意味ではない。情報が断絶されていたため、その時期に起きた出来事を知らないのだ。

北京に留学していた95年~97年の記憶。

この時期は、ネットも無く、留学生宿舎にTVもなく、日本の新聞も無く、今のようにフリーペーパーも無かった(或いは存在を知らなかった)ため、日本で起きたことをほぼ知らない。今現在自分が「知らなかった」ことが把握できているのは、「パフィー」と「たまごっち」。この2つはわたしの留学中に日本でヒットしたものであったため、帰国後「何それ?」と言って、驚かれた二大流行である。

そして、あれから10年以上も経ち、また一つ、「何で今頃知ってしまったんだろう」というモノが発見された。

森博嗣。

今さらという感じで、『すべてがFになる』を読んだ。ヤバイです・・・。超~面白い。何で今まで知らなかったんだろう、って、最後のページを見ると・・・ほらね、やっぱり1996年刊行されている。「何で知らなかったんだろう?」ってものは、大体95年~97年に起きたことだ。

何で今さら森博嗣を読んでいるのかというと、「講談社のメフィスト賞は森博嗣をデビューさせるために設けられた賞」というのを知り、「どんな作家?」と興味を持ったから。

赤川次郎を髣髴とさせる軽めのノリに最初は「ムリかな?」と危ぶんだが、あっという間に飲み込まれた。

わたしは科学や数学に弱い。特に数学は数Ⅱで既に挫折しているので、コンプレックスが深い。いや、数Ⅱどころか「√」が理解できない。今でもできない。頭に描くことができない概念を受け入れることができず、この辺りから数学は諦めた。

でも、わたしは自分が文系人間だとも思ってはいない。数学の知識は無いが、論理的にものを考えたり、既成の概念を疑う思考は持っていると思う。論理的に理解することは比較的得意だと思っている。(国語ができるのは文系、数学ができるのは理系、という分類は間違っていると思う。じゃ、森博嗣のように工学博士である作家はどうなるのか?要は思考過程の問題だ。)

話を戻すと、何故この作品に「飲み込まれた」かというと、話の端々に出てくる「理系会話」が、ヤバかった。

わたしは「√」が理解できないぐらいなので、数学を研究している人なんかが「微分は美しいね」なんていう感性をもっていることに妬みを感じると共に、憧れる。

昔、ドラマの『高校教師』(注*ドラマ限定)にハマったが、これも羽村隆夫が確か繭に南極のペンギンの話をして、「こんな話、つまらないよね」と寂しそうに言ったシーンにズキュン!と来たからだ。いや、わたしは南極のペンギンの話は面白いと思いますよ。というか、「思う方」と「思わない方」がいたら、「思う方」です。上っ面の社交辞令じゃなく、本当に。羽村先生が真田広之でなくとも。

という理由で、犀川先生に恋しはじめています。ヤバイね。

買ったときはココまで面白いと思わなかったので、このシリーズでは『すべてがFになる』と『幻惑の死と使途』を持ってきたんですけど、ダメだ!シリーズ全部読みたい!!!・・・ってことで、国慶節中に日本から遊びに来てくれる友人にこの2冊の間にある『冷たい密室と博士たち』『笑わない数学者』『詩的私的ジャック』『封印再度』の4冊を持ってきてもらうことにしました。シリーズの残り4冊は次の機会にとっておきます。

それにしても、久々にズキュン!と来た本に出会いました。今、幸せです。

ハマるという行為は、他の事を考えなくなるので、精神的に楽で良いです。

森作品、全部読破したいような、読破後虚脱感に襲われるのが怖いような。










すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER (講談社文庫)
森 博嗣 (1998/12)
講談社

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  • [2007/10/06 09:43]
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