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《水の彼方》著:田原 訳:泉京鹿 

“田原”という中国人作家が書いた小説《水の彼方 》(原題『双生水莽』)の日本語訳を読んだ。

この方、「タハラ」さんではなく、中国人でTianYuan(てぃえん ゆぇん)さん。
「田」が苗字で、「原」が名前。

どのような方かというと・・・

田原(ティエンユエン、: Tiān Yuán 、1985年3月30日 - )は武漢市出身のアーティスト、女優、小説家。

身長165cm。2001年6月16歳の時に、バンド 跳房子(Hopscotch)のメインボーカリストを担当した。2002年6月にアルバム『A Wishful Way』をリリース。同年、小説家としてのデビュー作『斑馬森林』を発表。2004年に『蝴蝶』で映画初出演。第24回香港電影金像奨で最優秀新人賞を獲得した。

wikiより

とある機会に田原が16歳の時に歌っていた「跳房子(Hopscotch)」の音楽を聞いたのだが、8年経った今聞いてもカッコよくて古くなっていない。

そういう、音楽の方面にも才能があり、また女優としても充分な美貌を持った人の書いた、しかも“80後”(80年代生まれ)が書いた小説、ということに興味を持ち、読んでみた。

田原の小説の日本語版出版については、日本でも記事になっている。
ちょっと長いけど、この小説の“位置づけ”について説明したいので、全文掲載。
田原の写真を見たかったら↓をクリック。

「中国13億人の女神」の原点 田原初の小説邦訳出版

その存在を一言で表現するなら“ピュア”。切りそろえただけの黒髪。濁りのない美貌(びぼう)は、背景の緑にとけ込んでしまいそうだ。彼女の名前は、田原(ティエンユエン)(24)。中国圏で活躍中の歌手、女優、作家…。ただ、あどけなくも妙に哲学的な瞳だけが、のぞきこむと引き込まれそうな不思議な光を湛え、「中国13億人のミューズ(芸術の女神)」と呼ばれる理由が分かる気がする。


 田原は、自著の小説『水の彼方 Double Mono』(泉京鹿訳、講談社刊、1600円)の邦訳出版記念プロモーションのために来日した。


 出会った彼女は、「80后(パーリンホウ)」と呼ばれる1980年代生まれの一人っ子世代があがめるカリスマ・アーティストらしからぬ気さくさで、気軽にサインに応じていた。


 「中高生のころ、私はずっと水底にとらわれていて、水面の向こうにぼんやりした影を眺めて陸の世界を夢みていた。私は今、水の上からはい上がってようやく、世界を見た。でも、水底にいたときの記憶を忘れたくなくて」


 2007年に発表された同書を書いた動機をこう語る。原題『双生水莽(すいもう)』は中国の古典怪奇寓話(ぐうわ)集『聊斉志異(りょうさいしい)』の一編『水莽草』からとった。この水莽草を誤って食べると水莽鬼となって水底にとらわれてしまう。


 文化大革命も天安門事件も知らない中国の少年少女たちが、真綿で首を絞められるような閉塞(へいそく)感の中で求めもがいて傷つく青春を水莽鬼と重ね、夢と現実の入り交じる高度な表現手法で紡ぐ。


 田原は17歳でバンドのヴォーカリストとして音楽デビュー、武漢を一歩もでたことのない“田舎娘”が、海賊版の洋楽CDで覚えた英語で詩を書いて作曲しネーティブと変わらぬ発音で歌う奇跡は中国の若者たちを熱狂させた。


 「家は豊かではないけど、両親が色々な本を与えてくれた。モーパッサン、バルザック、ニーチェ…。ピアノもギターも習わせてくれた」。貧しくとも背伸びをして一人娘に惜しみない知識と教育、期待と愛情を注ぐのが80后の親たち。結果、小皇帝とよばれるひ弱でわがままな若者に育つこともある一方で、田原のようなマルチな才能を生むことも。「80后はみんな一つのことに集中せずいろんなことに手を出しちゃう」


 秋には日本でのCDリリースも予定。しかし「私が一番自分を表現できているのは小説」。日本の本格的音楽デビューの前に中国のミューズの素顔を知りたいなら、まず同書を読むことをお勧めする。

+++

中国の世代間格差は日本以上に激しい。

中国では、ちょっと前までは“70後”が所謂“新人類”的なイメージで各方面で語られていたが、今では“80後”が“新人類”として議論されている。

年齢で言うと、“70後”は30代、“80後”は20代になるが、都市部で暮らす(←ここポイント)彼らの行動は、日本で考えられている所謂“中国人”のイメージとはかけ離れていると思う。
“70後”“80後”の中国人は、自家用車に乗り、リーバイスのジーンズやコンバース(もちろん本物)を日常着とし、通学・通勤途中はプレステやDSをする。iPodで音楽を聴き、ネットで買い物をして、洋楽を聴き、洋画を見る。
オタクも存在し、日本のアニメについてほぼリアルタイムでキャッチアップしている人たちも数多くおり、コスプレ文化も充分に浸透している。
彼らの親世代にあたる人たちは文革世代で、その苦い体験から本音のところでは政治も宗教ももうこりごりだと身に沁みて感じていて、極端な拝金主義に走り、株や不動産への投資に目の色を変える一方、その子世代は今の日本の同世代と同じように、閉塞感を感じている、なんてこと、日本人はあまり感じていないと思う。

ただ、日本との違いは、日本ではこの閉塞感が全体にまんべんなく覆っているけど、中国では地域格差もあるんじゃないかな、とは思う。
都市部と農村部では同じ年代の子でも情報量も親の経済状態も違うから、見えてくる未来も当然違ってくる。

だから、この《水の彼方》を、わたしは「80後の都市部の若者が見た現在」と思って読んでみた。
(というか、“80後”の定義には地方の貧困地域の子は一人っ子ではないから含まれていないと思うけど。)

@@@

これを読む前に、既に読んだ方から

「この本は、40歳を境に共感できる・できないラインが生まれる」

と聞いていた。
ギリギリ“60後”(そんな言葉ないけど)のわたし、結果的には二者択一で言えば後者だった。

これ、この小説がつまらないと言っているのではないよ。
その時代を通過してしまったものとして、客観的に読んだ、ということ。

この小説を読んでいるときにデジャブのように思い出したのが、綿矢りさの《蹴りたい背中》を読んだときの、「何?!この危うさ!」という驚き。

《蹴りたい…》は19歳という最年少で芥川賞を受賞した作品、ということだったが、この年齢の人しか書けない、剥きだしの感性で、というか、感性のみで描かれたような作品で、読みながらその危うさにドキドキしてしまった。
一方、確かにすごい感性で書かれた作品ではあるけれど、剥きだしの瞬発力から生まれたような作品に芥川賞を与えて良いのか、とも思った記憶がある。

綿矢りさが芥川賞を受賞した2004年、鷺沢萠が自宅トイレで首吊り自殺で亡くなっている。
鷺沢萠とは年がほぼ同じだったこともあり、彼女が19歳で文壇デビューしたことは良く覚えている。
鷺沢萠作品はわたしの嗜好に合わなかったので読まなかったため、この作家が感性の力でストーリーを進める作風で書いていた人なのかどうか判断できないが、35歳で自殺したと知った時、「19歳なんかでデビューしたのがキツかったんだろうな」と思った。
本当の死因はわからないけどね。

って本題から逸れたけど、そういう“感性に任せて文字を羅列”した文学、というのが《水の彼方》に対するわたしの第一印象。
でも、それはバラバラではなくて、田原は作詞もするようなので、歌の歌詞のような繋ぎ方というか、そういう、思考がぱっぱぱっぱ飛びながらも、ひとつのテーマで繋がっているという、そういう小説。

この思考の飛び方にわたしは乗ることができず、それを客観視するしかなかった。

これはわたしの年齢もあるかもしれないが、たぶんそれ以上にわたしが音楽を聴かない人間だということもあるかと思う。
わたしは「リズム」が苦手で、音楽を聴くことができない。
唯一聞けるのは「メロディー」のある音楽で、歌詞にストーリー性がしっかりとあるものだけだ。
なので、中島みゆき、ユーミン、サザン、清志郎、椎名林檎あたりは耳で追うことができるのだけど、他のはだいたい、全く思考がついていかなくてダメだ。
これは10代からずっとそう。音楽の聴き方が良く分からない。

この本が10代の日本人が書いた本だったら、途中で読むことを止めていたかもしれない。
共感できない音楽を途中で止めることと同じで。

でも、わたしは全部読んだ。
正直、最初は厳しいと思ったが、次第に興味が深くなっていった。

中国の、“あの”中国の80後世代はこんな世界観を持っているんだ…ということへの興味がページを進ませた。

今、中国はこんなところまで来ている、そういうリアルな部分をこの小説はビンビンに感じさせてくれる。
ちょっと生々しすぎるぐらいだ。

これがこの本の正しい読み方なのかはわからないけど(そもそも“正しい読み方”なんて無いと思うけど)、この小説の登場人物がアメリカやイギリスや日本では無く、“あの”中国の地方都市・武漢を舞台に描かれている、そう思って読むと、この小説の意味と面白さが実感できるんじゃないか、と思う。

 

+++

同書は北京では、『サロン・ド・千華』で日本語版を購入出来ると思います。
在庫の有無・値段等は《サロン・ド・千華》に問い合わせてください。

《サロン・ド・千華》


朝陽区関東店南街2号 旺座中心西塔501

ph;010-5207-8030

10:00~19:00

 

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コメント

私も後者

最初の一曲あたりでCD止めちゃった状態です。
読み進められない・・・
心地いいリズム感が得られないので、頑張って意識してついていく感じです。
正直、ちょっとしんどい。
もしかしたら、中国語で読んだ方がリズムはすんなり身体に入ってくるかも。
どちらにしても、少し積ん読しておくことにします。
しばらくしたら、また読み直してみようかな。
最終的な感想は読了してからまた。

〉ayaziさん

小説というより、詩のような感触もあり、入り込むのにハードルがある感じもしますね。
中国語でどのように書かれているのか、わたしも興味あります!

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