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《大地の咆哮 元上海領事が見た中国》 

 サブタイトル「元上海総領事が見た中国」とある通り、著者は04年の上海領事館員自殺事件当時の総領事であった人であり、この本を上梓後、自らも癌で亡くなっている。

 

 本書を読み終えた今思うのは、この本は著者の遺書であり、日中の関係の改善に尽くし続けた著者の最後の叫びであるように思えてならない。

 

 中国について書かれた書籍には、急速な経済の発展にばかり注目し「あと20年もしないうちに中国の方が日本より先進国になっている」という論調のものや、逆に中国国内の経済格差を厳しく指摘しているものが多いように感じる。

 
 しかし、前者は中国に実際に住んでいる方なら誰でも感じていると思うが、「それはあり得ない」現実を日常的に見ているし、後者については沿岸部の豊かさが国内の貧困地域に巡回しない矛盾したシステムを中国の中に住んでいれば感じることが出来、どちらの論調にも「そうじゃないんだけど」と思うことが多い。

 

 中国について語った書籍がゴマンとある中で本書が抜きん出ているのは、著者が中国との長い付き合いの中で、中国に対する愛情を持ちながら、中国の歴史・システムを踏まえた上での指摘を行っていること、また、その中で隣国である日本の役割について、非常に分りやすく説明していることである。

 

 特にわたしが「なるほど!」と感じた一説を(長くなるが)引用したい。

 

 対中ODAの必要性について、これほど具体的に書かれた文章は読んだことがない。

 

 先に、日本が中国の軍事費拡大を非難し、中国がそれに耳を貸さないからといって中国に対するODAを終了するのは得策ではないと述べた。中国の軍拡に対する批判を、台湾統一を国是とする中国は内政干渉としか受け取らないからだ。それよりも、「草の根無償資金協力」による小学校建設や教材購入支援などを行い、その実績をもって、中国がいかに基礎教育をないがしろにしているかを世界に訴えていくことができる。

 

 もう一つは、環境対策という視点。周知のとおり、中国国内ではいまさまざまな公害問題が起こり、被害が出ている。たとえば、汚れた河川を浄化するために、「草の根無償資金協力」で簡易浄化装置を設置していく。

 それを続けながら、「こんなに経済発展して外貨準備高もあり、世界的にプレゼンスが高まっている中国が簡易浄化設備に回す予算がないのはおかしい」と訴えれば、中国の人たちは、それを否定できないわけだし、彼らはいずれ予算取りをせざるを得なくなる。

 

 私が主張したいのは、中国が抱えるさまざまな問題を放置しておくならば、中国人自身が将来、途方もない負担を背負うのは不可避なのだが、それを隣国として看過せずに、援助することによって、問題提起をしていくということである。われわれが積極的に対応して問題提起をしていくことにより、中国の予算の優先度を変えさせる力がある。私はそういうかたちで対中ODA予算を使っていくべきだと思っている。

 

 +++

 ・・・対中ODAとは、ただ日本が中国に感謝されるがためにのみ行ってきたのではなく、前述のように中国という国家に大きな質的変化をもたらすために行ってきたわけで、われわれはそのことも思い返す必要があろう。

 

 +++

しかし、これだけ成果を上げた対中経済協力が終焉を間近に迎えた今日、平和国家・日本の数少ない外交カードである対中ODAの四半世紀の歴史を無にするようなかたちでの終焉だけは避けるべきだ。

 

 対中ODA批判の主な論調は「豊かになった中国への援助はもう不要」「ODAで援助した分を軍拡にまわされているじゃないか」という指摘だが、わたしはこれを読んだ時、国のリーダー達はこういう意図をもってODAを行っていたのか、と思うと同時に、もっとその真意を国民に伝えるべきだと感じた。リーダーの意図が国民に伝わっておらず、国としては長い目でもって行っている、ある意味「正しい」政策が、国民に伝わっていない現状というのはもったいない。


 その他、「靖国神社参拝問題」「日本はこれまで二十回以上も謝罪を行ってきた」等、歴史認識問題についてもきちんと触れられている。

 

 中国大使館では《歴史Q&A》という冊子を一般配布しており、この中に日中の過去において日本政府はどのような対応を行ってきたのか、戦後賠償について政府はどのように解釈しているのか、日本政府は中国に対し本当に謝罪してこなかったのか等分りやすくまとめてあるのだが、多くの中国在住日本人はこの冊子の存在を知らないと思う。今回、本書の中ではっきりとその点についてまとめられていることで、日本人であっても曖昧であった「日本側の歴史」について、しっかりと知ることができるのは、非常に重要なことだと思う。

 


 これほど分りやすく、しかも具体的に今の中国について書かれた本はないと思う。これから中国に赴任する方も、今中国にいる方も、この本を読むことで、一つ深く中国を知ることが出来ると思う。特に中国で暮らす日本人にとっては、必読の書であると感じた。

 丁度1年前に出版された本なので、もう読まれている方はたくさんいらっしゃると思いますが、「気になっていたけど、まだ読んでいない」という方、是非ご一読を!






 

 

 

 

 
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コメント

良くある中国マニュアル本ではなく、実体験に基づいた、また、現在の反日の背景等、知らなかった詳細が記載されており、大変参考になったことを憶えています。
いいほんですよね、この本。。。

>ダーシーさん
コメントありがとうございます!
この本には、なんていうんだろ、書いた人の“想い”がすごく詰まっているようで、一般の批評・分析本とは一線を画しているように思いました。

機会があったらお借りしたいです。

>xiaomiさん
ではでは次にお会いする時に!

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